ヒロシの心霊キャンプ:山の不思議な話を焚き火を囲んで

芸人でYouTuberとしても活躍するヒロシが、山で起きた奇妙な体験を聞き手に語ってもらう番組「ヒロシの心霊キャンプ」。キャンプ場を舞台に、焚き火を囲みながら不思議な話を聞くというコンセプトが、独特の雰囲気を生み出しています。

視聴はU-NEXTでしましたがAmazonなどでされています。
(2025/08/25)

Youtubeで見られる第一話の動画

 

番組の魅力:キャンプ場で語られる山の怪談

番組の冒頭、ヒロシの少し低めの声で始まるトーク。芸人としてのヒロシのイメージが強いせいか、最初は少し怖さが薄れるかもしれません。しかし、街中で怪談を聞くよりも、キャンプ場という自然の中で話を聞くスタイルは、臨場感たっぷり。山の静けさや焚き火の揺らめきが、話に独特の雰囲気を添えます。

ヒロシの受け身な姿勢も番組の魅力の一つ。自分を前面に出すのではなく、体験者の話を引き立てる姿勢が、視聴者にとって入り込みやすい雰囲気を作っています。ドラマ仕立ての再現映像も、話に深みを加える工夫として効果的です。

夕暮れのキャンプ場で始まる怪談

番組は夕暮れ時、ヒロシと体験者が焚き火を囲んで話を始めるシーンからスタートします。真っ暗なキャンプ場で、焚き火の明かりだけを頼りに撮影するのはなかなか大変そう。話の後には、ヒロシがキャンプ料理を振る舞うシーンもあり、暗闇での調理の危険を避けるためか、夕暮れ時に話を聞く設定がちょうど良いバランスです。

山の怪談の新鮮さ

都市伝説やホラーは、都会や人が住む場所が舞台のものが多いですが、この番組は山や自然を舞台にした話に特化しています。山ならではの不思議な話や恐怖体験は、ホラーに慣れた視聴者にとっても新鮮。聞いたことのないような話が多く、興味深く楽しめます。

また、死ぬほど怖い話ばかりではないので、ホラーが苦手な人でも気軽に楽しめる内容です。夏の暑い夜や秋の夜長に、ちょっとしたゾクッとする話を楽しみたい人にぴったりです。

原作は『山怪 山人が語る不思議な話』

番組の原作は、ヤマケイ文庫の『山怪 山人が語る不思議な話』(田中康弘著)。山で暮らす人々が語る怪奇現象や恐怖体験をまとめた作品で、ドラマやコミックにも展開されています。興味がある方は、AmazonのKindle版(全3巻)が読み放題の対象になっているので、ぜひチェックしてみてください!(2025年8月24日時点)

『山怪 (全3巻)』田中康弘

ちなみに、原作の出版社である山と溪谷社の社員が、番組内で怪談の語り手として登場することもあります。山やキャンプの雑誌を手がける出版社ならではのエピソードは、原作へのリスペクトも感じさせる粋な演出ですね。

コンパクトで分かりやすい番組構成

番組は1回24分で、2つの話をコンパクトにまとめた構成。1話あたりが長すぎないので、視聴しやすいのが特徴です。再現ドラマも重要な部分だけを映像化しており、話の流れが分かりやすく、視聴者を引き込みます。

キャンプ飯の魅力

番組のもう一つの見どころは、ベアーズ島田キャンプさんが手がけるキャンプ料理。話の合間や番組の締めに登場する料理シーンは、どれも美味しそう!回を重ねるごとに料理の時間が増えている気がしますが、手際の良さと完成した料理のクオリティに、思わず「食べてみたい!」と感じること間違いなしです。

 

内容のまとめ

第1話

『二度と行かない』

ハイキング特集の写真を撮るため、一人で山に入って撮影をしていた。すると不自然な女の子に出会い、その後も撮影の先々で姿を見せるのだった。

『もう一人いる』

3人で山を登っているとき、霧が出てきた。迷わないよう前の人のリュックに手をつき、列をなして歩いていたところ、最後尾の人のリュックにも“誰かの手”の感触が…。

キャンプ飯:無水カレー

第2話

『気配』

一人でキャンプを楽しんでいると、どこからともなく声が聞こえてくる。うるさいとテントを開けると、突然手をつかまれる。夢かと思うが、目が覚めた後も…。

『降りてくる山の神』

母親とハイキングに行った少女。途中の祠に手を合わせ歩き続けていると、不審な男に道を尋ねられる。その後、車に戻ると母は荷物を持っておらず、少女がリュックを背負っていた。やがて“奇妙な女性”が現れ、男の言動も大人らしからぬ雰囲気を漂わせる。心が子どもに戻ったような不気味さが伝わってくる。

キャンプ飯:ミルクアヒージョのバゲット添え(途中で投入されるエビがとてつもなく美味しそう)

第3話

『ナビの策略』

山の仕事帰り、ナビを頼りに街へ戻ろうとすると、どんどん細い道へ案内される。誤作動だと思いUターンを試みるが…。この体験者は原作『山怪』の出版社・山と溪谷社の社員とされており、原作へのサービス的な演出かもしれない。

『来たのは誰だ』

登山道修復のバイト中、山小屋で雨宿りしていると錫杖の音が近づいてくる。修験者かと思えば、やがて天井を這い回る不気味な音が…。

キャンプ飯:目玉焼きのせ焼きそば(半熟の目玉焼きを混ぜて食べるのは“反則級”の美味しさ)

第4話

『闇に笑う男』

女性3人でキャンプに行った夜。夢の中で、不気味な笑みを浮かべる男が寝ている女性の腕を強くつかんできた。目覚めると、他の2人はすでに朝のお茶を飲んでいた。

『遭難者が見たモノ』

娘を亡くした男性が山で遭難し、朦朧とした中で不思議な体験をする。

キャンプ飯:吊るし肉の燻製

第5話

『叫ぶ女』

廃墟マニアが山奥の廃墟を探索していると、奇声を上げる女に追いかけられる。

『私も』

滝を見に山林を歩いていたところ、道の真ん中で遠くを見つめる不気味な女性とすれ違う。帰り道でも、まだその場に立ち続けていた…。

キャンプ飯:彩り野菜の肉巻き各種(「豚肉のしょっぱさをパプリカが消してニュートラルに」とヒロシ談)

第6話

『山から出られない』

長年山を知り尽くした猟師が、ある日山で迷子になり、抜け出せなくなってしまう。

『丑三つの少女』

山林の仕事中、仲間が無線で「白い服の少女がいる」と言う。その後、応答が途絶え、探しに行くと仲間は行方不明に。やがて高所から落ちて気づくと辺りは暗くなり、行方不明者を見つけるが…。

キャンプ飯:牛ひき肉100%! チーズのせハンバーグ

第7話

『闇女』

山の管理用に設置されたカメラに、奇妙な女の姿が映り込んでいた。

『テントの中と外』

山で仲間と二人キャンプをしていると、迷子だという男がテントに来て「入れてくれ」と頼む。招き入れると…。

キャンプ飯:ニジマスのホイル焼き

第8話

『見つけてください』

「三谷を見つけた」という中年男性。夢で三谷を見たと言い、助けを求めていたのではないかと考え、友人と山へ探しに行くが…。

『夢が呼ぶ』

車内で居眠りをしていると赤い車が現れる。仲間に起こされ夢だと気づくが、その後も再び赤い車に遭遇。夢か現実かわからないまま、女性に導かれるようにまた赤い車に呼ばれていく。

全16話の中でも特に複雑な構造を持ち、最後にふさわしい見応えのある一篇。

キャンプ飯:魚介たっぷりパエリア(「キャンプご飯はその時に食べたいものを食べていい」と思わせてくれる一皿)

全体の感想

全16話(32エピソード)は、山の不思議な雰囲気とキャンプ飯の魅力が絶妙にマッチ。特に最終話(第8話)は複雑な構造と引き込まれる展開が秀逸で、ホラー初心者からベテランまで楽しめる内容です。焚き火を囲む怪談と、ベアーズ島田キャンプさんの絶品料理が織りなす独特の世界観を、ぜひ堪能してください!