スペインのパニックホラー映画RECシリーズ最後の作品である。
POV(主観映像)という手法が完全に使われなくなり、船の上に隔離され感染者が発生してそこから逃げ出すという大まかな内容。
ホラー映画としてシリーズを重ねるごとにアクションが増えていき、事件が起こるまでに時間がかかるようになってしまっている。
REC4では感染者がでるまで30分ぐらいかかっている。
厳しいことをいうならホラー映画として展開を重視せずに早めに感染者が登場しても良かったと思う。
正直見た後に印象に残るシーンがあまりない、あるとしたらコックが猿に襲われ猿を油で焼いてしまうシーンだろうか。
そのシーンはホラーというよりもコメディの雰囲気があった。
シリーズとしてPOVの手法は使わなくなったが、隔離された空間、襲い来る感染者とREC1のヒロインの復活とRECという作品のテイストを感じる。
【タイトル】REC/レック4 ワールドエンド
【監督】 ジャウマ・バラゲロ
【脚本】 マヌー・ディアス/ジャウマ・バラゲロ
【制作国】 スペイン
【配給】
【制作年】 2014年
【時間】 95分
【あらすじ】
スペイン発のパニックホラーシリーズ最終章。海上に浮かぶ大型貨物船の中で目覚めたTVリポーター・アンヘラ。謎のウイルスを研究する医師・リカルテによって隔離されていた彼女は脱出を試みるが、船内でウイルスが拡散する非常事態が発生する。
「キネマ旬報社」データベースより
【感想】(多少のネタバレがあります。)
REC1とREC2は人物がもつビデオカメラの映像を通してみている撮影が行われ、REC3でも一部その手法は使われていた。
しかし、インパクトがあったのは2までで3では感染者に襲われるまでの演出だったがREC4では完全に使われなくなってしまった。
ナンバリング映画の宿命というべきか1でやったことを踏襲しつつ新しいことをしないとインパクトないといわれて面白くないといわれてしまう。
そのためにビデオカメラの視点はなくなってしまった。
REC2の続編としてナンバリングされたREC4、REC3の登場人物も一部出てくるが設定のために出されただけで必要なかったように思える。
作品としての大切なのは隔離した空間と感染者が襲ってくることだろう。
今までのシリーズを通してPOVは使わなくなったが大切な設定が守られている。
残念なのは、ホラーとしての恐怖はナンバリングが増えるごとに恐怖を感じなくなってしまった。パニック映画とあまり変わら無くなってしまったのだ。
これは撮影の方法もあるのだろうが、登場人物が恐怖を感じるよりも立ち向かうことが多くなってしまったのが原因である。
ホラーなのだから登場人物は恐怖に慄いてなんぼである。
恐怖を感じることなく銃やナイフで戦いを挑んでいては恐怖は感じない。しかも、強いし
カメラ演出として手持ちのビデオカメラの視点が無くなったのだが、船の中の狭い通路で感染者に襲われるために映像が右に左にブレるため見づらくい。
これでは、POVを辞めた意味がない。
それでも作中にいいところだってある。
ヒロインとして復活したアンヘラはREC1では襲われてひたすら逃げ惑い、REC2では操られ、REC4では起きたら船の中と人体実験でもするのかという勢いのベットに乗せられて説明もなしである。
そりゃ、だれだって暴れますよ。
なので暴れて飛び出し逃げて外に出てみると見渡す限り周りは海ですよ。
アンヘラの女優演技が美味いのか今にも死にそうな眼で、ブラック企業でひたすら働いている人のように生気のない疲れた顔
最初、映画が1から4までの間に5年以上あったから老いたのかなと思ったけど、後半になると表情が全然違う。
後半は行動も表情も狂暴と言ってもいいほど、アクションを頑張って顔にも生気がある。
いや、凄いね女優は普通に騙されたわ。
あとは、猿に襲われて頑張ったコックは凄いね。噛まれると感染してゾンビのようになるのに、噛まれた後も料理作っているから、噛まれるとほかの人はすぐに襲いだすのになぜ平気なのと言いたくなる。
襲われて、てっきり包丁で刺し殺すのかと思ったらそのまま油の引いてある鍋に突っ込んで焼き殺すとか、恐怖よりもユーモアを狙ってるよ。
このコックが船の人々を次々と襲うと思ったのだけど、焼いた猿をそのまま調理してご飯に出して感染していくというのは予想外だった。
ウィルスだからね。
そういう感染のありなのかもね。
襲ってくる感染者の行動が完全にゾンビになってしまっている件
前作とかは設定ではウィルスに感染した悪魔憑きということだったのだけど、気づけばただの走るゾンビになってしまっている。
あれではバイオハザードのゾンビである。音が鳴ると気づいて襲ってくるだけ・・・
お~~~ぃ、設定はどこに行った!!
積み上げられた設定である悪魔憑きも毎シリーズ出てきた神父もカメラ視点もすべて残骸になってしまって作中の会話には出てくるがほとんどつかわれないという方向転換である。完全にアクションホラーだけを目指しているように思える。
と前半のネタバレを少ししたところで、この映画の総括として、RECのナンバリングでなければ十分に面白いと評価しても良いと思うよ。
前の作品を見てるからハードルが上がってしまっているけれども、本来はゾンビものアクションホラー映画としては面白く見ることが出来るよ。
見方を変えればバイオハザードの映画とおなじ、起きるとベットで逃げ出すとゾンビが襲ってくる。
強いゾンビも、怪しい寄生虫も同じ同じ。
ただ違うのは予算だよね。
ハリウッドの予算は桁が違うから、同じ予算があったら似たような作品がつくれたんじゃないかな。
最後に
アンヘラが始まってすぐにアパートの階段を降りてきたときの顔の汚れのなさはいかがなものでしょう。前作であれだけ顔に血やら汚れがあったのに顔の汚れがほぼ消えた状態て出てくるなよ。
前作のそれぐらい踏襲しろよ!!