著名な原作があっても映画が素晴らしいとは限らないと思いつつも、いつかは当たりの作品があるはずだと思っている私です。

そんな原作付きの映画である帝都物語は荒俣宏の小説を原作に1988年という昭和の末期に作られた映画です。映画の原作である小説は10巻もあるので原作の4巻までの「神霊篇」から「龍動篇」を2時間の映画化していますが・・・

無理無理、4巻分でもたった2時間にまとまるわけがありません。

なのでかなり飛ばした展開で作品。

理由はわからないがなぜか帝都を破壊したい魔人・加藤が平将門の怨霊を目覚めせて帝都破壊を目論みます。

そのために平将門の子孫である辰宮家を生贄にしようと娘の辰宮由佳理を連れ去り、自らの子を孕ませてその子供を利用して帝都を破壊しようと画策する加藤。

加藤に対抗して霊的に帝都を守ってきた土御門家の平井保昌は加藤の計画を阻止しようと一族の力をもってして対抗する。しかし、強力な霊力をもつ加藤の式神や陰陽道を阻むことができず、平井保昌は加藤が帝都を破壊しようとする計画を暴くも死んでしまうのだった。

それから10年の歳月が流れ、大正12年、加藤が帝都に戻ってくる。帝都を破壊するために

ここまでが序盤の30分程度の物語なのですが作品は2時間15分もある大作なので、これからまだまだ話が続きます。

【タイトル】帝都物語

【監督】実相寺昭雄
【脚本】林海象
【原作】荒俣宏 「帝都物語」
【公開】1988年
【時間】135分

【感想】

作品には今でも知られている勝新太郎、石田純一、坂東玉三郎、原田美枝子など早々たる面子がそろっています。そんな俳優たちも帝都物語を見ると勝新太郎以外は嶋田久作演じる加藤保憲の演技に引っ張られてなのか過剰な演技していてあまり上手く演じられていないのか少しぎこちなく見える。

その点、嶋田久作の演じる加藤保憲という作品上、ただ一人の悪役であり魔人という特殊な設定のためか過剰な演技が映える映える。完全に他の俳優の演技をくってしまっている。

作品を最後まで見ても主役であるはずの石田純一が演じる”辰宮洋一郎”や原田美枝子が演じる目方恵子以外の印象はかなり薄く、ほかの登場人物になるとストーリー上の絡みは覚えているが誰だったかまるで覚えていない人物もいる。

帝都物語の楽しむことろは嶋田久作が演じる加藤保憲、CGのない時代の特殊な演出が様々使われているシーンに注目したい。
加藤が放つ式神は紙から式神の化け物になり動くシーンをコマ撮りしている。かなりの数の式神が登場するがそれらが動くシーンの特撮は努力を感じる。

あとは数多くの史実に実在していた人物たちが登場する。もちろん本人ではなく俳優が演じるのだがどの人がどの人物か映画ではほとんどわからないが少し予習をしていると楽しめる。

それとは別に”學天則”が登場する!!

學天則は1928年に西村真琴が制作して昭和天皇即位を記念した大礼記念京都博覧会に出展されているという史実があった。

そんな學天則が映画に登場する。

帝都物語では加藤の式神の妨害によって出来なくなった地下鉄の工事を人間では行いないことから人造人間として學天則に依頼するのだけど、學天則の登場と加藤の悪事には直接的な関連がないからなのか展開がガバガバ。

學天則に頼んだのも鬼か幻覚かわからないが地下鉄の工事が人間では出来ないから作業が進まないから人ではないではない存在ならできるだろうと學天則にやらせることになる。

その學天則を操作する人がほぼ真後ろで操っているのを見て「お~~い!待て待て」とツッコミをいれてしまう。人も學天則と一緒に行ったら意味ないよ。

あと學天則にロボットのお約束の機能つけてんじゃね!!

映画の帝都物語は小説4冊を短くまとめているためにかなり無理がある。重要なところをかいつまんでいるだけで小説を読んでいないと内容がかなり難解な作品になっている。重要な登場人物が加藤以外は上手く演じ切れていない印象があるのた勿体ない。

それでも作品の世界観を作るために準備された巨大なセットは大正、昭和のはじめの空気感を見事に再現している。本当に大正時代で撮影したのではないかと驚きがある。

SFファンタジー作品がゆえにCGなどの技術が発達した今みると物足りなさはある。

【点数】3

5 … 人に紹介できる面白さが解る映画
4 … 感性の違いはあるかもしれないが面白い映画
3 … 時間の無駄ではない映画
2 … 最後まで見ることができないこともある映画
1 … 紹介してきた人を殴りたくなる

最後に

悪役である加藤の部下が唱えている呪文がきになって調べたけど、「オンキリキリバサラウンハッタ」てなんなのかなと思っていたら密教の軍荼利明王の真言で健康を祈るような呪文なことを知って笑ってしまったw