アンフレンデッド、パソコンで見たいSkypeを使ったホラー映画
ホラー映画はその時代の流れに合わせていろいろなものを取り込んできたと思うんです。子供たちの噂から始まった学校の怪談、携帯電話が出ればそれを主題にした作品「着信アリ」、2ちゃんなどのSNS、ニコニコ動画など身近なものが取り上げられることによって私たちはふとした瞬間、自分にもホラー映画のようなことが起きるのではと一瞬思ってしまうことがある。
30歳過ぎてもいまだに大人になれないだけの私の思い出は置いておいて、今回の作品はSkypeを主題にホラーが演出されています。パソコンの前だけで行われているので映画館よりも自分のパソコンでみることで、自分もそのSkypeに参加してしている感覚を味わうことができます。
テーマをつけるとすれば「近くて遠い」でしょうか。
Skypeを使うことで相手の映像と音声が届きとても話している相手の反応を見ることができるので電話よりもより近い存在として感じることができるけれども、話している相手に何かが起きても助けることができない。後半はこのテーマとは違ってきますが前半ではこのテーマではないでしょうか。
(この内容には、ネタバレがあります。)
登場人物
ブレア シェリー・ヘニッヒ
ミッチ モーゼス・ストーム
ジェス レニー・オルステッド
アダム ウィル・ペルツ
ケン ジェイコブ・ワイソッキ
ヴァル コートニー・ハルバーソン
ローラ・バーンズ ヘザー・ソッサマン
友達だったローラの自殺の動画をネットにUPされているものをブレアが見ているところに彼氏のミッチからSkypeの連絡が入る。恋人同士で会話をしているところにジェスやアダムたちといった仲間からSkypeの通話が入る。二人は無視しようとするのだが勝手に通話状態になる。通話状態になるとその中に見覚えのないアカウントも通話に参加していた知らない相手だったので通話拒否をしようとするのだが、それは死んだはずのローラのアカウントからだった。接続を切ろうとしてもどうしても切れないローラのアカウントは沈黙していたが突然話しかけてくる。
そのことが引き金にローラの自殺にかかわる原因から6人に広がる恐怖、一人また一人と通話が切れていく。
感想
同じような場面演出を2ちゃんねるの呪いで見たことがあるが、あちらは今一つ恐怖の演出がたりないように思えるのだが、アンフレッデッドでは前半ではみんな理性が残っておりローラの幽霊ではという気持ちがあるながらもパソコンに侵入したクラッカーによるウィルスが原因であると考えて対処しようとする。
対処しようとしたケンはこのことが原因となり殺されるのだが彼が殺されるまでは見ている側である私たちもホラーと知っていながらもあまり恐怖を感じるない。
しかし、Skypeの映像からケンが死んでしまう映像が流れることによって見ているブレアたちに強い恐怖を与え、見ている私たちはその死に方を引き金にローラの幽霊の恐怖が湧き上がてくる。
作品はSkypeを使用することでまるで一つの空間で起きている出来事にように演出されており、登場人物たちのパソコンの映像だけの世界で完結している。話が進んでいくごとにSkypeから減っていく画面より無くなった画面の分だけ仲間が死んでいることを理解させるこのことがわたしたちはローラの幽霊の犠牲者の存在を意識させる。このことが常に恐怖を意識させる。
序盤から中盤まではそこまでの恐怖を感じることもなく、彼らの人間関係や性格について差し込まれており、なぜ、ローラが自殺することになったのかをなんとなくわかるような流れになっていて、なにが原因でこの恐怖の生まれているのかわかりやすくなっている。
作品のテンポは良く、序盤から中盤まではジェットコースターの上りのようにゆっくりと恐怖を煽っていき、ケンがウィルス対策をしたところからブレアたちの恐怖と混乱は坂を下るようにに加速していくので間延びするようなことはない。
パソコンでのSkypeがテーマとなっている作品なので映画で見るよりは、自分のパソコンの見るほうがより恐怖を感じることができ、ブレアたちのSkypeに自分も参加しているように楽しむことができる。
惜しむならこの作品の字幕が映像の下や左右に飛ぶ、字幕を付けるにしても意図があるのだろうが、映画を見ている人にはわからないだろうし、右にあったのに左に次の字幕が出ると消える瞬間まで気づかないことがある。字幕で会話を追いかけてしまうと字幕を見逃していくつかの会話をのがしてしまうのでもったいない。
演出
作中での照明は登場人物のバッグで強くはない橙色の証明がされており強い光は、パソコンの前にいる人物たちの顔に当たっている。暗い部屋での恐怖を誘う演出とバックの淡い照明ではなく冷たいイメージを与え普通に会話をしている場面ではそこまで感じないが恐怖と混乱で騒いでいる場面の恐怖を一段と盛り上げる効果がある。
最も蛍光灯のついている部屋にいた人物は恐怖を盛り上げるケンの死ぬシーンの前に退場させられている。
また、ミッチがブレアの浮気について問い詰める場面ではミッチの顔に当たるライトの位置が変わり顔の影が濃くなることでブレアに対する気持ちに対しての疑心感、問い詰められるブレアは部屋の角の最も暗い場所に隠れることでその場から消えてしまいたい気持ちが現れている。
映画の後半になると、見ている側もパソコン画面に慣れてきて、Skypeの中の映像に集中できるので、変化のない箇所には目がいかなくなり人物の集中できるようになっている。
パソコン画面の上の時計は多少ずれはあるけれども変化している。
カメラワーク
カメラは基本的にはパソコンの画面の映像という演出になっており、パソコンに備え付けられているWebカメラが各人物の映しているようになっているがそれもパソコン画面の中のことである意味では凄まじく長いロングカットにもおもえる。
また、部屋から逃げ出そうとしたノートパソコンごと移動するときのみ背景に変化があるがそういった場面でも人物のアップになっており、ブレアはノートパソコンのようで途中で背景がかわっていたりする。
音響
環境音はキーボードの音とSNSのメッセージが来たときのみで、ローラがブレアに対してメッセージを書き込んで切るときにジリジリジリという違和感を感じさせる音が鳴る。
ローラの書き込みの音は異物からメッセージであることを知らせる演出なのか、実際にそういったものなのか分からないために判断はできない。
みんなが会話をしているときに映像や音声の乱れがあるが、そういった場面ではバックし小さく別の音楽が流れておりその場面がネットワークが原因での映像であることを分かるよう演出されている。