昔、霊幻道士役として有名となったチン・シュウホウ、しかし、今は落ちぶれて妻子からも見離れたチンは幽霊の出る団地に引っ越してくる。持ち物は昔のヒット作である霊幻道士の衣装のみ、団地に入ったその日に女の悪霊に取り憑かれ、首吊をした瞬間に団地に住む霊幻道士のヤウに救われる。
時代の流れで道士の仕事を失って今では定食屋の店主として働くヤウ、チンが越してくる前まで部屋に住んでいた妻子のフォンとパクとの交流、服を繕うことが得意なムイは旦那であるトンを蘇らそうとするのだが。
といったストーリー
解説として
タイトルの「キョンシー」は中国の死体妖怪の一種
「霊幻道士」とは霊能者
【タイトル】キョンシー (原題:殭屍)
【ジャンル】ダーク・ホラー
【監督】ジュノ・マック
【脚本】ジュノ・マック、フィリップ・ユン、ジル・リョン
【公開】2013年
【時間】105分
【国】香港
原題「殭屍」、監督はジュノ・マックの香港映画、面白いことにプロデューサーに「呪怨」で有名になった映画監督の清水崇を迎えて製作された。2013年の第26回東京国際映画祭では「リゴル・モルティス/死後硬直」という邦題で公開され、その後、シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014で「キョンシー」の邦題に変わって公開された。
キョンシーを見た後だと、東京国際映画祭での「リゴル・モルティス/死後硬直」はたしかに作品にあっていると思うのだけれども、インパクトとタイトルのネタバレを避けるためか今のタイトル「キョンシー」となったのではないかなと考えられる。
キョンシーを見た後だと、東京国際映画祭での「リゴル・モルティス/死後硬直」のタイトルが作品を現したタイトルだと思えるがあまりにもどうなのかと思ってしまう。ベビーシッターの作品を見てベビーシッターと名付けるのと同じぐらいそのタイトルはわかり易すぎる。
インパクトとタイトルのネタバレを避けるためか今のタイトル「キョンシー」となったのではないかなと考えられる。
キョンシーも後半に出てきて香港映画らしくアクションの連続になるのでこちらでも何も間違ってないし、この映画の主人公であるチンは映画「霊幻道士」のシリーズに出ていた人たちが何名も登場する。そのため霊幻道士のオマージュが多く出てくるが作品しらなくても十分楽しめる。
もちろん知っていれば更に楽しめることは間違いない。
【感想】
アパートに引っ越してきた男が巻き込まれる幽霊やキョンシー、ホラー作品ではあるが恐怖よりも香港映画らしいコミカルなネタの面白さが印象的、カットの切り替わりのテンポが短く区切られ、幽霊やキョンシーのシーンでも登場のシーンを長回しで尺稼ぎもしていない。そのおかげでテンポよく作品を観ることが出来て良い。これこそ霊幻道士時代の香港映画のホラー作品らしさがある。
幽霊の扱いがとても見事で、ラストでアクションが中心になるのは香港映画として仕方がないが、ラストのオチは手塚先生の禁じてというべきか、世界線が変わったと見るべきかを考えさせられる。
作品がコメディもなく、シリアスに進んでいたために短絡的なラストにする作品として見るのがもったいないように感じてしまうラストとなっている。
色々考えた結果、多分ラストの意味は作品のそのままの意味だったんだと思うことにしたが、少し残念に思える終わり方であり、仰天のラストとも言える。
まぁ、その辺は見てくれ。
ホラーとしての恐怖の演出は怖くはないが、必要以上にグロいシーンで恐怖の印象を与えるのではなく、キョンシーが人を食べている隣の部屋でキョンシーの親が縫い物を一心不乱にしている。隣の部屋からの声や音が聞こえる中で足漕ぎのミシンで服が縫われていくことによって見ている人が想像を掻き立てるような演出がなされているのは清水崇さんの影響としてのJホラーの雰囲気を感じることが出来る。
映画点数
【点数】3
5 … 人に紹介できる面白さが解る映画
4 … 感性の違いはあるかもしれないが面白い映画
3 … 時間の無駄ではない映画
2 … 最後まで見ることができないこともある映画
1 … 紹介してきた人を殴りたくなる
【ここから先は映画のラストのネタばれです。】