50名前後の人々が突然一つの空間に集められる。彼らは円の中に立ち、彼らの中心がルーレットのように光りだし点滅しながら回っていた光が止まると突然、一人の人が倒れる。
集められた人々はわけもわからないまま騒いでいるとまた一人また一人と死んでいくことで彼らは気づく。光が止まったところで人が死に次に死ぬ人を自分たちが投票できることに。
次に死ぬ人をどう決めるのか、どうすれば止めることができるのかを考えるなかで人種や年齢による差別、一人しか生き残れないとしたら誰を生き残らせるべきなのかを話し合う。富を持つ人か名誉か若者か年寄りか、男性か女性か?
そしてこの命をかけたやり取りを誰が仕組んだのかを。
SFの設定とサスペンスな展開の映画、1つの空間ですべて完結するために間延びするタイミングもあるが、その部分だけを無視するなら面白い映画
【感想】(ネタバレもある)
1つの空間の中で命をかけることになるゲームのような状況を映画として作るのはかなり低予算な作品と思われるがよくできている。CGなどは人が死ぬときの電気とラストに少しあるだけであとは人間の会話劇で成り立っている。
投票して人が死ぬまでに映像としてはかなりのペースで人が死んでいく。映像として見てほしいのは人が死ぬシーンではなく、話し合いの場面である。この謎のゲームの簡単なルールを教えるために数名を犠牲にして本当に投票して人が死ぬのかを確かめる場面からがこの映画のスタートと言っても良い。
死ぬ人を選択する投票で倫理を持ち出すか、それとも犠牲者をだしてでも数名でも助かる方法を探すかで話し合う間にも次々と人が死んでいく。
倫理を振りかざし、命は皆平等だという人々の考えはどんな方法を使っても止まらないルーレットによって意見は消えていき、誰が生き残るべきかという話になっていく。
もしかしたら最後の1人になるまで止まらないかもしれないルーレット、円の中から出ると死、時間制限のある中で人の命の優劣をつけるという極限状態。
序盤の出だしはとても良く、誰が話し合いのリーダーになるか、倫理側か生き残る人を決める側かで激しく論争が繰り広げられる。
そのために早い段階で話をまとめるリーダーなった人たちは次々に死んでいき、どうなるのかが気になる状態になるようになるのだがリーダーになった人が次々に死んでいくために中盤では間延びした展開になってしまったのは本当にもったいない。
映画全体の印象としてどうしても矢継ぎ早に意見を言い合っている時間よりも間延びしている印象だけが映画を見た人に残ってしまうために映画の面白かった場面の記憶が上書きされてしまうのがもったいない。
この映画の楽しみ方としては自分がもしこの場にいたらどうするかを考えながら見ると面白く見ることができる。
命は平等だという意見を取るのか、命の選択をする側になるのか。選択側ならどういった基準で選ぶのか。話し合いのリーダーとして話をまとめる役になるべきか。ならなければ有象無象として殺される可能性もあるからリーダーになるならどのタイミングでなるべきなのか。
それとも何も選択しないという方法を選ぶべきなのか。
様々な環境で生まれた人たちが多彩に集められて会話劇をして色々な理由によって殺されていく。考えられるかぎりの設定の人たちが死ぬからこそ、自分があそこにいたらどのような選択をするのかを考えられるように作品として作られている。
映画を見る楽しみよりも映画を見て同じ状況になったら自分は何を選択するのかを考えると楽しい映画だった。