アメリカのマーベルコミックから誕生したヴァンパイアハンターが主人公の作品であるブレイドの映画化作品。母が妊娠中に吸血鬼に襲われたことにより、胎児にいたブレイドは吸血鬼の体と人間の特質をかな備えたハーフとして生まれ、吸血鬼の弱点を克服した存在として誕生した。
ブレイドを育てた老人ウィスラーによって吸血鬼ハンターとして育てられ吸血鬼から恐れられる存在となる。
映画『ブレイド』では若きヴァンパイアのフロストの野心によって解読された古文書「マグラの書」に書かれている強大な力をてにいれることで、ヴァンパイアと人類と共存状態を脱して世界の支配を目論むフロストが率いるヴァンパイアグループとの戦いが始まる。
もう20年以上前の映画、でも古くならない戦闘シーンではブレイドが吸血鬼相手に無双するアクションと武器で敵をバッタバッタと倒していく。ブレイドの名前にたがわず剣はもちろん、ヴァンパイアを倒すためお杭、銀の玉を打つショットガン、手裏剣にワイヤーと様々な武器と体術で観客を魅了する。アクションシーンの緊張をところどころに差し込まれるユーモアによって緩和され、緊張と緩和の操作によって映画のクライマックスまで盛り上がっていく映画に心が引っ張られていきます。
【タイトル】ブレイド(BLADE)
【公開】1998年
【製作国】アメリカ
【上映時間】120分
【監督】スティーヴン・ノリントン
【脚本】デヴィッド・S・ゴイヤー
【原作】マーヴ・ウォルフマン、ジーン・コーラン
【主演】
ウェズリー・スナイプス
スティーヴン・ドーフ
クリス・クリストファーソン
脚本のデヴィッド・S・ゴイヤーはブレイドの3シリーズともに脚本を書いており、3では監督にもなっている。
【点数】5
5 … 人に紹介できる面白さが解る映画
4 … 感性の違いはあるかもしれないが面白い映画
3 … 時間の無駄ではない映画
2 … 最後まで見ることができないこともある映画
1 … 紹介してきた人を殴りたくなる
素晴らしい点は
・オープニングの1967年から1998年まで30年を1分で演出している。
・SFXとCGがあまり多用されていないためにチープになっていない。
・スタイリッシュなアクションシーン。
・言葉以外で描かれる心情
【ジャンル】
アクション、SF、ホラー
【感想】
1998年という微妙にSFXからCGへと技術の変化が起きている時代に作られた映画のためかあまり派手な視覚効果が多用されていない。使われているのは吸血鬼が死ぬときの演出ぐらいなものであまり気にならない。そのおかげで20年以上たった今でも映像の粗さは感じるものの作品としては今見ても十分に楽しむ事が出来る。
CGやSFXといった視覚効果が少ないが、アクション映画だけあって体を使った派手なアクションシーンは多くその辺はカッコよく見ることができ、映画のつかみであるオープニングからすぐに始まる戦闘シーンではブレイドの強さと身体能力の高さ、次々に吸血鬼を倒していくという爽快感もあってそれだけで映画に引き込まれていく。
布石のようなブレイドの人間関係の弱点、無敵の強さお誇るブレイドを襲う吸血鬼の本能、最後の戦へとむかうブレイドが心情を描いたBGMと演出は素晴らしく。拠点を離れるときに球根のある植物の根を切る事でを切この拠点へとは帰ってこない根無し草的な存在になることを言葉ではなく、植物の根を切ることで示しているといった心の機微を言葉以外で見事に示している。
ただ、20年以上の時がたったこともあり、数少ないSFXを使っているシーンがチープに見えてしまうのは残念。
1967年から1998年までの31年を1分で描いたオープニング
ブレイドの物語のすべての始まりである誕生から吸血鬼との死闘を繰り広げている現在までの時間の流れを感じさせる見事にオープニングで演出している。
病院の建物の中で1967と赤文字の表示されるところから始まるオープニング、病院に緊急搬送されてきた血まみれの妊婦、その妊婦から生まれた赤ちゃん。
場面はかわり、ビルの屋上から写る古いビル群に朝日で生まれた影がビル群の下から伸びていきた影が覆い、古いビル群を超えていく。映像は徐々に夜へと近づいていく。夕暮れには画面が切り替わり近代のビルに電気の明かりがついていく。
2度差し込まれるごみが捨てられるような路地裏は変わらない光景として演出されている。
そして最後にNOWと表示される。。
1967年から現代までの時間の流れを約1分ほどで見事に描いている。
約1分で映画の公開が1998年なので1967年から1998年の時を演出していることがすごい。31年という時の流れをどう描くかの凄さがこのオープニングにはある。
オープニングを振り返ると『1967』と表示され、この瞬間の時間とここから物語は始まったんだということを見ている見ているあなたに教えてくれる。
そして扉を砕くように入ってくるストレッチャーにその周りを同じようにかけていく白衣の男たち、上からのカットに切り替わりストレッチャーに乗せられているのが女性であるり、首に充てられているタオルから血が流れていることでケガをしていることがわかる。しかも、ちらっとおなかが見えることで女性が妊婦であり、生まれる寸前であることも見せ、落ちたサイフから彼女がどんな人物なのかを教えてくれる。
帝王切開によって子供が生まれ、心電図の停止音が停止するなかで赤子の鳴き声が聞こえるということで生まれてる存在と死ぬ存在という対比を音で演出される。
ここまで約40秒でブレイドの誕生と力の秘密の人間とヴァンパイアの混血として生まれたことを示唆させる場面と母親との別れが1分にも満たないシーンを見せられる。
子供と母親の永遠ともいえる別れ、じっくりと描けば悲しみも湧いて来ようという内容なのだが、そこは30秒ほどで場面がさらりと流してしまっているのでその事実に見ている側としても気にする前に、画面が暗転して古いビルの群のカットへと移ってしまう。
人も映されず、ただビルが映されているだけのカットに少しダークなBGMとともに下からすごい勢いで影がせりあがっていく。この影はカメラの後ろにあるビルの陰が太陽の高さが変わることで上がっていっているだけだ。
しかし、1967年から1998年までの時間の流れをオープニングで描いていると考えるなら、すごい勢いで高いビルが建造されているという考えもできる。そうなると、10階ぐらいの古いビルを覆うような高いビルが建っていくという演出としてもとる事が出来る。
このオープニングでは基本的に影は下から上へと生えてくるように演出されることで、急速な文明の進化を描いている。そして夜に近付くと古いビルではなく近代のタイプのビルも出てくるようになる最後には、ビルに電気がつくことで人類の力で夜を克服したように感じられる。
この30秒ほどのシーンで2度裏路地の場面が出てくのだが、古いビルではなく今風のビルのカットになる時と昼から夜へと時間の流れが変わるときに使われている。
古いビルから新しいビルへ、昼から夜へどちらの時にもダークサイドが存在するという演出なのかもしれない。
オープニングのラストにビルの明かりがつき、人類は夜を克服したようにも思える中で変わらず、人類が克服した夜の闇の中に吸血鬼という存在が同じように生活し人の血を得ているというのが吸血鬼ものの作品としての始まるとして一般に受けるのかもしれない。