DMMで始まった「DMMショート」を見てみた。

中国などでスマホ向けに流行っている縦型動画のドラマに近い形式で、普通のテレビドラマと比べると、1話あたりの時間がかなり短く作られている。

今回は、その中からホラーが好きなので『深夜放送』『バニーキッチン』『禁忌』の3作品を見る。

実際に見てみると、ただドラマを短くしただけというものでもなく、1話の長さや話の区切り方によって、見やすさや作品そのものの印象までかなり変わってくる。

特に気になったのが、1話をどれくらいの長さにするのがちょうどよいのかというところだろうか。

『バニーキッチン』|1話1〜2分はさすがに短い

『バニーキッチン』は、1話が2分もなく、かなり短い。

すぐに次の話を見ることができるという意味では気軽なのだが、1話が終わるたびに次の話の読み込みになる。これが思っていた以上にストレスになる。

30話ほど見るとなると、1〜2分ごとに話が止まり、そのたびに読み込みが入る。

作品そのものとは関係のないところではあるが、何度も「ぐるぐる」と読み込みを待たされると、それだけで話自体の評価まで下がってしまう。

物語についても、中盤までは多少イライラを感じる展開だった。今回は全部を見ると決めていたので、そのまま最後まで見た。

短いから次も見るという判断をするのか、それとも数話見たところで、展開が面白くないから見るのをやめるという判断になるのだろうか。

短いからこそ見るという人もいるだろうが、もう少し長ければ、展開の面白いところも1話の中に詰め込むことができるのではないだろうか。

この作品では、なぜこの展開をここまで続けるのだろうと思いながら見ていたのだが、ラスト付近になると急に話が動き、それまでの物語がなぜこのような展開だったのかが明かされる。

そこで一応の納得をすることはできた。

ただ、1話が1〜2分程度だからこそ、そこまで我慢して見ることができたという面もある。

普通の30分ドラマで同じような展開が続けば、途中で見るのをやめていたかもしれない。

1〜2分ほどなら、「もう1話だけ」と思って次へ進むことができる。

1話ごとに少しだけ先が気になるところを残して、次の話へ進ませる。

2分程度で盛り上がりを作って、その熱を持ったまま次の話を見てもらうのだろうが、ストーリーとしては中盤で展開が落ち着いてしまうので、そこで離脱する人も増えそうな気がする。

個人的には、1話1〜2分という長さは、さすがに少し短すぎるように思う。

『禁忌』|区切り方はうまいが、話が少し分かりづらい

『禁忌』はホラー作品である。

ショート動画として、1話1話をうまく区切ってはある。

ちょうど先が気になるところで話が終わるので、そのまま次の話を見たくなる作りになっている。

ただ、正直なところ、作品そのものはB級ホラーとして悪くもなく、ものすごく良いというほどでもなかった。

もう一つ気になったのが、短く区切っているがために、お話が少し分かりづらくなっているところだった。

ホラーは、場所や登場人物の関係を少しずつ理解しながら、その中で何かがおかしいという感覚を積み上げていく作品も多い。

ところが『禁忌』では、その途中で何度も話数が変わるため、話が細かく切れてしまう。

ショート動画として次を見せるための区切り方はうまいのだが、物語を分かりやすくするという意味では、あまり良い方向には働いていないように思える。

『深夜放送』|3分ほどあるとかなり見やすい

3作品の中では、『深夜放送』が一番見やすかった。

後からレビューを見て知ったのだが、ゲームを原作にした作品のようである。

見ている途中でも、どこかゲームのような話の進み方をする作品だとは感じていた。

まず良かったのが、縦型の画面と物語の相性である。

夜を舞台にした作品だからこそ、縦型の狭い画面の中で主人公を中心に映している。

横長のテレビ画面と比べれば、縦型動画は一度に映る情報量が少ない。

ただ、この作品では、その情報量の少なさが良い方向に働いているように感じた。

余計なところへ目が向かず、主人公とその周囲で起きていることに集中できるため、物語にも入り込みやすい。

夜の暗い場所を歩いていくようなホラーと、スマホの縦型画面はかなり相性が良いのかもしれない。

1話3分ほどが見ていてちょうどよい

『バニーキッチン』との大きな違いは、1話の長さである。

『深夜放送』は、1話がおよそ3分ほどある。

これくらいの時間があると、一つの場面をある程度見せてから次の話へ進むため、見ている側にも一区切りした感覚がある。

話を途中で細かく切られている感じも少なく、次の話へ進むテンポもちょうどよかった。

話そのものも整理されていて、3作品の中では一番見やすく、分かりやすかった。

今回見た範囲では、ショートドラマは1話3分前後くらいが、かなり見やすいように感じる。

ゲームを進めているような物語

『深夜放送』を見ていて、もう一つ気になったのが物語の進め方だった。

主人公が場所を移動し、そこで情報や物を見つけ、それを手がかりにして次の場所へ進んでいく。

一つ一つのアイテムを集めながら先へ進んでいくゲームを見ているような印象があった。

後からゲームが原作らしいと知ったので、その影響でゲーム感が出ていたのかもしれない。

ただ、それだけではなく、主人公の言葉の端々に、次の行動を説明するような台詞が入っていることも関係しているように思う。

ゲームなら自分でキャラクターを動かして、次に何をするのかを決める。

ドラマでは見る側が操作することはできないため、主人公自身に次の行動を言わせることで、ゲームのような話の進み方でも分かりやすくしているのかもしれない。

少し説明台詞が多いようにも感じたが、短い時間で話を理解させる必要があるショートドラマでは、このくらいの分かりやすさがあったほうが良いのだろう。

それでも話はまとまっているし、物語としても分かりやすい。

最後のオチもよくできていたので、3作品の中では一番楽しい作品だった。

1分と3分ではかなり印象が違う

今回3作品を見て、一番気になったのは、作品そのものの内容だけではなく、1話の長さだった。

『バニーキッチン』のように1〜2分ほどまで短くすると、「もう少しだけ見よう」と思うこともあるのかもしれないが、それ以上に、話数ごとに読み込みが挟まることのほうがストレスであった。

『禁忌』では、話を短く区切ったことで、かえって物語が分かりづらくなっているようにも感じる。その点、『深夜放送』の3分ほどという長さは、一つの場面をある程度見せながら、次の話への引きも作ることができる。

ショート動画としての短さを残しながら、ドラマとしても見やすい長さだった。

今回見た3作品だけで決めることはできないが、個人的には、ショートドラマだからといって1分ほどまで短くする必要はないように思う。

2分から3分ほどあったほうが、物語を理解する時間もあり、短い動画を続けて見る気軽さも残る。

スマホで見ることを前提にすると、画面の使い方だけではなく、台詞や話の区切り方まで普通のドラマとは変わってくる。

DMMショートのような形態は、中国ではすさまじい数が作られ、いまではAIを使って制作していく流れも出てきている。

物語の展開や面白さをじっくり楽しむというより、一瞬の高揚感と「1分や2分なら見る」という流れを作っているのかもしれない。

こうしたショートドラマは、これまで見ていたショート動画の代わりになっていく可能性があるのだろうかという疑問が残る。

今回の3作品を見た感想としては、3分ぐらい物語の山や谷を見ることが出来てよかったが、動画の早送りが当たり前になったように、1分ぐらいの動画にみんながなれていくのだろうか。