NHK『世界入りにくい居酒屋』2018年の感想と内容まとめ
この番組を見ていると、国ごとに問題はあっても「個人の楽しみ方はどこも変わらない」と感じる。
韓国でもメキシコでもオーストラリアでも、酒飲みは酒飲み。
「入りにくい」のは地元密着で観光客が少ないからで、入ってしまえば歓迎してくれそうな空気はどこも同じだ。
ここでは、2018年に見た回の記録と感想をまとめる。
世界入りにくい居酒屋『ベトナム・ホイアン』
16世紀〜19世紀に発展し、ベトナム戦争の空爆を免れたことで旧市街が世界遺産になったホイアン。
観光地として有名なのは「日本橋」だが、観光地化が進んだ結果、昔ながらの店は旧市街から減り、橋を渡った先の“地元の店”へ向かう流れになる。
ホイアンは知らない人にも笑顔で挨拶する、空気がやさしい町。
トタン屋根の小さな店に入ると、学生やおじさんが集まり、38度を超える暑さの中で熱々のシーフード鍋を囲んでいる。
印象的だったのがビールの飲み方。
学生は氷で薄めた“ビール・オン・ザ・ロック”、大人は冷たいビールをそのまま。
薄まったらおいしくない派としては、大人側に共感した。
店主の過去(戦後の苦労)や、神様へタバコ・コーヒー・酒を供える習慣なども出てきて、酒場が「生活の延長」にあることがよく分かる回だった。
主な料理・酒
- お米から作ったホイアンの焼酎(約32度)
- ビール・オン・ザ・ロック
- 熱々のシーフード鍋
- 鹿肉を使った野菜炒め(ムオイスペシャル)
- 魚のすり身の厚揚げ(コ♡スペシャル)
- 名物:カエルのかき揚げ(通称「ゲロゲロのかき揚げ」)
ゲスト:島崎和歌子/南明奈
世界入りにくい居酒屋『クロアチア・ザグレブ』
首都ザグレブは中世以来の街並みがあり「リトルウィーン」とも呼ばれる一方、町はずれには落書きが目立つエリアもある。
そこで登場する“ザグレブNo.1の入りづらい店”が「Magazinska klet(倉庫街の小屋)」。
ここは肉食の常連が集う店。
シェフが4種類の牛肉を切り分け、混ぜすぎず混ぜなさすぎずの絶妙なバランスで「魔法のミンチ」を作る。
最後にもう一度ミンチにし直すという手間が、ガチの店感を出している。
店を共同経営するマリオとゴランの関係性もクセが強い。
面接に7時間遅刻してきた話は笑うしかないが、なぜか店が成立しているのがこの番組っぽい。
クロアチアの万能調味料オレガノが、肉料理の空気を全部まとめてくるのも印象的だった。
主な料理・酒
- こぼれ酒(ワイン+炭酸:1杯目1:1 → 2杯目2:1 → 最後はワイン)
- 炭酸ワイン
- アンズの蒸留酒(約42%)
- 愛のお肉王国(バーグ系の盛り合わせ、輪っかバーグなど)
- 愛されてトロトロ(ビーフシチュー)
- 設備屋さんの揚げクレープ
ゲスト:島崎和歌子/小峠英二
世界入りにくい居酒屋『オーストラリア・シドニー』
発展都市シドニーの“入りづらい店”は、実は退役軍人連盟のクラブ。
ペリカンが目印の「Narrabeen RSL」で、客層は年配が中心。
ドレスコードの看板があるのに、みんな好きな格好。
実はその看板、どこかから持ってきたもの…という雑さが逆に安心する。
退役軍人連盟は1916年から続く組織で、70年代以降は一般にも開放され地域コミュニティとして機能している。
抽選ゲームなどもあって、店というより“居場所”の色が強い。
そしてとにかく仲間愛が強い。見ているだけで楽しくなる回だった。
主な料理・酒
- ビール「ムチ打ち150回」(ホップを盗んで鞭打ちされた話が由来)
- スパークリングワイン
- Tボーンステーキ
- 骨付きラム
- バケツdeチキン
ゲスト:大久保佳代子/安田美沙子
世界入りにくい居酒屋『アメリカ・サンフランシスコ』
シリコンバレーの影響でITビルが増え、地価が上がりすぎた街サンフランシスコ。
そんな“ウハウハ側”とは別に、アイルランド系や中南米系のブルーワーカーが通う創業80年の店が出てくる。
朝6時開店のバーで、夜勤明けの労働者や“暇人”が集まる。
街が発展するときに流入した人たちが飲む場所として残ってきた、という背景がいい。
個人的に刺さったのが、葬儀のたびに飲んで帰る人たちがいる話。
酒場が「区切り」や「弔い」の動線になっているのが、文化の違いというより人間の共通っぽさを感じる。
そして常連に奢ってもらうのが、混ぜる系の危険ドリンク「アイリッシュドボン」。
クリームが固まるので素早く飲む必要がある、というだけでだいぶ面白い。
主な料理・酒
- アイリッシュドボン(アイリッシュビール+ウイスキー+カカオクリーム系)
- もぐりビール
- とろ〜り鶏すいとん(※すいとんが溶ける)
- ヘルシーサラダ
- ビッグマッシュ
- ザリガニパン(ザリガニソースのオリジナル料理)
ゲスト:島崎和歌子/おのののか
まとめ:入りにくいのに、入ると同じ
国の空気は違う。街の事情も違う。
でも、店に入った瞬間の「飲めよ」「食えよ」の距離感は驚くほど共通している。
入りづらい店ほど、その土地の生活が濃い。
この番組が好きなのは、結局そこだと思う。

