この番組は「時代劇をどう盛り上げていくか」をテーマに、 時代劇を撮影していく過程そのものを番組にした実験作品だった。
NHKが持つ世界でも数少ない最新機材を投入し、 スーパースロー、高速撮影、ドローン、ラジコンカメラなどを使いながら 新しい時代劇の表現を模索していく。
昔の時代劇で、雨の中を刀で横一文字に斬り払うスロー映像を見て 「かっこいい」と感じた記憶があるが、 あの感覚を今の技術で更新しようとしている番組だった。
衰退していく一方と言われる時代劇を盛り上げるためにも、 こういう企画はもっとやってほしいと思う。
スーパースロー撮影の迫力
水袋を斬るシーンでは、 スーパースローによって水が弾け飛ぶ瞬間が細かく見える。
普段は一瞬で終わる斬撃が、 映像としてしっかり「見せ場」になるのが面白い。
ドローン撮影の没入感
竹林での上空撮影ではドローンを使用。 空から役者へ寄り、そのまま人がドローンを受け取って 地上撮影へとつなぐ。
そして一騎打ちが終わると、 再びドローンが空へ舞い上がる。
カメラが切れずに場面がつながっていくため、 観ている側もその場にいるような感覚になる。
ハイスピード撮影の長所と欠点
高速とスローを交互に切り替えることで、 殺陣(たて)の緊張感と緩急が強調される。
ただ、スローになる場面では、 刀が実際には相手に当たっていないことが見えてしまう という問題も出てしまう。
20秒ほどで13人を斬るシーンでも、 カメラの角度によっては迫力が出る一方、 主人公と敵が一直線に並ぶと距離感が分かってしまい、 少しもったいなく感じた。
映像としては美しいが、 スロー表現と殺陣のリアリティの両立はまだ課題なのだと思う。
足元からの新しい視点
ラジコンカメラによる足元からの撮影も印象に残る。
これまであまり見たことのない角度から 殺陣を見せることで、 同じ時代劇でも新鮮に感じられる。
撮影現場を知る面白さ
この番組の良いところは、 時代劇がどのように撮影されているのかを なんとなくでも理解できる点にある。
普段見るだけだったドラマの裏側を、 エンタメとして楽しめる作りになっている。
NHKには、こうした番組を作り続けて 時代劇という文化を次の世代に残していってほしいと思う。
中村獅童の敵役が良かった
特に印象に残ったのは中村獅童の敵役。
正直、これまで時代劇の人情パートは 不要だと思っていたこともあったが、 この作品ではその存在が効いていて 「あってよかった」と思えるシーンになっていた。
まとめ:時代劇はまだ進化できる
最新の撮影技術を使うことで、 時代劇はまだ新しく生まれ変われる可能性がある。
この企画が単発で終わらず、 本格的なドラマ制作につながれば面白いのに、と感じた一本だった。

