「この動画は再生できません」:ホラーだと思ったらミステリー!かが屋の軽妙な演技が光るドラマ
30分ほどの番組が始まってすぐ、約12分にわたる女子高生たちの動画が流れます。番組タイトルが「この動画は再生できません」と不穏な雰囲気なので、ホラー動画として女子高生の恐怖体験を再現映像で描いているのかと思いきや、演出や行動にどこか不自然さを感じます。「再現映像にしては合理性が薄いな」なんて思いながら見ていると、女子高生たちが全滅した直後、突然ブランコが揺れるシーンに切り替わり、芸人・かが屋の二人(加賀翔と賀屋壮也)が登場して話し始めます。ここで初めて「これはドラマだったのか!」と気づき、その落差に驚かされました。
Amazon Videoで「ホラー番組だろう」と期待して見始めたので、ドラマだとわかった瞬間は驚きつつも、ホラーと思いきや動画の違和感に気づく展開に引き込まれます。かが屋が演じる江尻(加賀翔)とオカルトライターの鬼頭(賀屋壮也)が、投稿動画に隠された真実を解き明かすミステリー要素が強く、ホラーだと思って見た視聴者を上手くミスリードする「ずらし」が見事なフックになっています。ミステリーの謎も最後までしっかりと解け、締めには中華の出前が届くというお決まりのユーモラスな展開で、気軽に楽しめる作品に仕上がっています。
ドラマの魅力:かが屋の軽妙なコンビネーションと25分の手軽さ
ドラマの舞台は1つの部屋で、江尻と鬼頭の二人だけで展開。投稿動画に隠された謎を解くという決まった流れながら、かが屋の演技が光ります。適当そうでどこか憎めない鬼頭と、それに振り回される江尻のコンビは、まるで日常でよく見るダメな上司と真面目な部下のような安定感。投稿動画を他人事のように軽いノリで分析する二人の表現力が素晴らしく、25分という短い尺もあってサクッと楽しめます。
残念なのは全4話と短いことと、ラストでホラーをミステリーに変換した流れを再びホラーに戻す見事なオチがついたのに、続きが気になる終わり方だったこと。どうやら2期の制作が予定されているようなので、期待が高まります!
ちなみに、テレビ神奈川で放送された際は、15分ごとに「謎編」と「回答編」に分かれていたようです。
2つの「ミニドラマが怖い話の動画パート」、「かが屋演じる江尻と鬼頭の二人が動画を見るパート」が上手く重なることで面白さが増している。必要以上にしつこくない演出と演技に良さを感じる。
AmazonVideoで視聴、1話25分なのでまずは何も知らずに見ると驚きがあるのでオススメする。
【点数】4
5 … 人に紹介できる面白さ
4 … 感性の違いはあるかもしれないが面白い
3 … 時間の無駄ではない
2 … 最後まで見ることができないこともある
1 … 紹介してきた人を殴りたくなる
各話の見どころ
- 第1話:死者から来た呪いの動画
女子高生3人が死ぬというホラー風の再現映像からスタート。江尻と鬼頭が動画の不自然なカットに気づき、「そのカットは何を隠しているのか?」を解き明かします。ミステリーの入り口として引き込まれる展開です。 - 第2話:消えた配信者
ホラー系YouTuberが生放送中にドッキリを仕掛けた後、突然動画更新が途絶えます。最後の生放送で起きた心霊現象を「ただの機械の故障」と片付ける二人ですが、ドッキリだけでは説明できない事実にたどり着く展開が秀逸。 - 第3話:事故物件
事故物件を映した動画がヤラセだと見抜いた江尻が、動画の不自然な演出から真実を導き出します。編集者視点でヤラセ動画の違和感を解説するシーンでは、江尻の台詞をわざと複数のカットで繋いで違和感を表現する細かい演出が光ります。真実を解き明かした瞬間に届くメールも、ゾクッとするアクセント。 - 第4話:呪われた社内ビデオ
11分も続く退屈な会社紹介動画に隠されたメッセージを江尻が見抜きます。ホラーからミステリーに寄っていた物語を、ラストで再びホラーに舵を切る展開は見事。ただし、会社紹介動画の退屈さはガチ(笑)。
総評
「この動画は再生できません」は、ホラーとミステリーのバランスが絶妙で、かが屋の軽妙な掛け合いが作品の魅力をさらに引き立てています。全4話と短いながらも、25分という手軽な尺でサクッと楽しめるので、ホラーやミステリーが好きな人にはぜひおすすめ。2期が待ち遠しい作品です!