科学技術が今よりもほんの少しだけ進んだ近未来の軍隊を描いたイギリスSFアクション映画。機械が軍医採用されだんだんと人の仕事が無くなるなかで訓練続きの海兵隊がさらなる実弾を使った軍事訓練を命令される。彼らは孤島での2日の訓練を行うことになるのだが、隊長のビュークス大尉は訓練内容や普段ついてこない技師が同行することに不信感を覚えながらも、敵として4足やキャタピラーのロボットを攻略していく。

大したことがない訓練かと思っていたがロボットもビュークスが使った作戦と同じような戦術を用いるようなり次々と仲間が殺されていく。
訓練では本来あり得ない仲間の死にビュークス大尉たちはだんだんと窮地に陥る。

【 国 】イギリス
【ジャンル】アクション、SF
【 点数 】 3 /5
【 公開 】2015年

【感想】少しネタバレがあります。

ハリウッドのように大きなお金がかかっているようには見えないが、ヘリや戦闘ロボットなどはしっかりとした出来栄えで、軍事の情報を多少知っていれば、キャタピラーの上に銃を設置した兵器など実在するものが出てくることにリアリティを感じる。実在のロボット兵器は遠隔操作だがこの映画ではすべてがAIで動いているためかゴテゴテとした無駄な機械が付いているのが気になるが、ロボットのセンスは悪くない。

世界観としては近未来で、世界中で仕事がAIに置き換わって行くといわれる状況でその波が軍事にも押し寄せているようで、ビュークスが会話している背後には多くのロボットが戦闘兵器を運送していたり、仕事がないために訓練が続いているといった描写によって現在の軍事の様子が見えてくる。

その後、孤島へと移動中や技師の女性の視点の中ではウィンドウが開いてコンピュータに接続していることをわかりやすく教えてくれる描写がある。それでもわからない人のために女性の眼の中にウィンドウが浮かんでいるのが分かるように眼の中に青色の表示がされている。それによって人間の体内にコンピュータを搭載していることがわかるように丁寧に教えてくれる。

よく出ていると思ったのは、孤島につくまでにコンピュータを体内に内蔵している人間としていない人間との差別的意識や内蔵している人が外部へのコンピュータにアクセスできることなど映画内で重要なことをすべて説明してくれており、作品中に唐突感がないようになっている。

シナリオはまとまっていて、ハリウッドのような大風呂敷感がないがなぜこの孤島にビュークスたちが呼ばれたのかなどの謎は残らないようになっている。

まとまっているからこそ面白くないという意見もあるかもしれないが、その辺はイギリス映画らしくふくらみのない内容だと思ってみるべきかもしれない。

ロボットは戦闘を経験して人間を観察することで成長していく。ロボットが大量に押し寄せてくるシーンでは、はじめは射撃されるだけだったのが回避をするようになりビルの柱を縫うように移動することで射線からずれたりとぎこちない動きがスムーズに動くようになっていくロボットたちに、だんだんとロボットを倒すことが難しくなっていくためにビュークスたちは追い詰められる。

この映画の中で描くべきことがAIの成長であり、そういった内容をロボットの動きとして描かれているのはよかった。

作中で、実はロボットたちはついてきた技師が設計したことが途中でわかるのだが、そのことを知り仲間が殺されたことなどを含めて言い争いになったり喚き散らしたりするのではなく、軍人として生き残るためにはどうするべきかを話し合ったり、すぐには死なないと思っていた人物が中盤になるあたりで普通に死んでしまうが必要以上に落ち込まずにストーリーが進んでいくのがいい。

無理矢理作られた起伏ではなく、ロボットたちに追い詰められながらもどう戦っていくかに主眼が置かれているところからブレないのがいいのだけれども、そういった起伏がないのでつまらないという人もいるかもしれない。

俳優についても、技師が孤島についてから脳内でつながっているネットワークが切断されたことで、常にそばにあったものを失ったことでの戸惑いや自分に優しくしてくれた男が殺されたときの悲しみを耐えるシーン、序盤からこの訓練を懐疑的に考えっているビュークス微妙な表情だったりと見事な演技にすんなりと見ることができる。

この作品は、機械が軍の仕事を奪っていく近未来が描かれています。本来は人が敵を判断して攻撃するのを映画では機械が敵を判断して機械が攻撃をするという世界に変わっていくことへの人間の抵抗が描かれています。

こんな世界が訪れるかもしれない世の中の状況を見渡すと少し考えさせられます。